クモユニ74製作記〜総武線の荷電編成・1〜
	2.車体の設計，製作
		-�@車体の切り詰め加工 　ボディーキットが旧製品の「Rなし」のタイプだったため「R付きの正面パーツ」を別途，手当致しました。その結果，以下の通り端から都合4mm(=2mm×両端)切り詰める必要が生じました。また，100番台の方は乗務員扉の前でスクラッチした正面パーツと接合するため変則的な切り詰めを致しました。後に成って100番台の方も000台と同様に「R付きの正面パーツ」を採用すればもっと簡単に進んだと思われますが100番台の四隅のR問題に結論が見い出せないうちに着手してしまい後のまつりでした(前項の伏兵1,以下�D参照)。
		000番台(×部を切除) 100番台(×部を切除)
		-�A窓の加工 　既に記しました通りクモユニ74の窓(常務員室の下降式窓を除く)には「四隅・角」と「四隅・丸」があります。タニカワ製キットは角タイプです。　幕張電車区に配置されていたクモユニ74のうち000代はすべて「四隅・Ｒ付」と成っています。従ってこの加工は100代には必要ありません。　但し，100代のうちクモユニ74103は「Ｒ付き」の異端車ですのでご注意下さい。　ほかの車号を製作する場合には一応，実車を調査，観察する事をお奨め致します。　さて，加工ですが以下の工程を踏みました。
	�A-a) 四隅のＲに成る小片を切り出します。　板厚は外販より厚い0.5t真鍮板を使用しました。 �A-b) 0.2tの洋白板[15角]を切り出し車体裏(内側)から窓をふさぎます。 �A-c) 小片を四隅に半田付けします。 �A-d) ふさいだ窓を切り抜きます。　このとき四隅はＲを付ける事を考えながら切り抜きます。 �A-e) 窓を整形します。半田付けした小片を外板とツライチになるようヤスリがけします。 �A-f) 窓全体を整形します。
		-�Bトイレ窓の加工 　キットのトイレ窓は横長で実物の感じとはかけ離れています。　横巾の寸法は図面からはほぼスケールらしいのですがこの大きさでは見た目が違います。同社製のクモニ83では実物のイメージに近く成っているので改善を期待したいものです。加工は以下の手順で奨めました。
		�B-a) Hゴムの外側の寸法で0.2t洋白板を切り出します。四隅は1R程度のＲを付けておきます。 �B-b) 真鍮板に半田付けし，休み孔をあけます。 �B-c) 貼り付けた状態で内側(外と内の巾として0.8程度を残し)切り抜きます。　 �B-d) 内側をヤスリで整形します。 �B-e) 熱をかけて張り付いた洋白板を取り離します。　コテで温めるよりガスコンロ等で一気に熱をかければきれいに離せます。このとき，ピンセット等を利用し火傷に十分気を付ける事が必要です。 �B-f) 車体の所定位置に半田付けし， 更に内側をヤスリで整形します。　 実物の構造は下部固定で上部は内側に倒して開く事が出来ますが，閉じた状態にしました。　横桟はキットをそのま生かしています。 Hゴムの表現 桟(縦)の加工。　横方向は目立つないので省略。
		-�Cドアーの加工 　キットのドアー(郵便室および荷物室の扉)は奥行きを表現するために四隅を直角折りしてあります。クモユニ74のドアーは四隅Ｒ付きなのでそのまま車体に付ける事が出来ません。また各々のドアーには硝子保護棒が付いているのでこれも表現したいところです。　加工は以下の手順で進めました。
		�C-a) 保護棒はスケールにすると強度が落ちるのでドァーといっしょに切り抜きました。　切り抜いた後に0.4φ洋白棒を所定位置へ半田付けしました。　棒の裏には当板(ドァーの一部)が半田付けされているのでこれで強度は十分あります。 �C-b) 次に，取っ手を付けます。郵便室用のドァーの取っ手は「下向き」と「上向き」がありますので実車の写真を良く観察して下さい。 �C-c) 奥行きを確保するための部材を0.4t真鍮帯金を切り出します。　市販の帯金(真鍮ないしは洋白)を使用する手もあります。 �C-d) ドアの周囲に合わせる必要があるのでベーク板で治具を作りました。この治具をもとに帯金を曲げます。継ぎ目は必ず上辺側にくるようにを曲げます。 �C-e) 周囲に沿って，治具で曲げた帯金を車体の裏側(内側)から半田付けします。この奥行き部は隠れない部分なので慎重に半田付けします。　特に，合わせ目は必ず上方に成るようにします。　下方では継ぎ目が目立ってしまうためです。　作例ではこの継ぎ目を補強する目的で当板を用いました。 �C-f) 奥行きが出来たら，�B-a)で作ったドァーを半田付けします。 ドァー取手は下向きです。上向きのタイプもあります。
		-�D前面の製作 　キットの前面は車体キットの項でも記しましたがいろいろなタイプが手に入ります。　いずれも一長一短があります。100番代車にも000番代車と同じくRがついています。但し，100番代の方が屋根布止め(キャンバス止め)金具の位置が0番台車より少し端に寄っている気がします。　このRですがスケールは80mm[切妻タイプのクモニ83は15mm]です。　タニカワ製キットのR付き前面パーツのRは実測で約1.8mm程度あります。　そこで，100番代車は1.0Rとしました。 製作が途中まで進行したあとで考えると100番代車も調和をとるためにタニカワ製のパーツをそのまま使った方が良かったと思うように成りました。 　要は100番代車を決して完全な切妻で製作してはいけないと言う事です。
		�D-a) 飾り金具を外側の寸法で0.4t洋白板から切り出します。四隅は1R程度の大きなＲを付けておきます。 �D-b) 真鍮板に半田付けし，休み孔をあけます。 �D-c) 貼り付けた状態で内側(外と内の巾として0.8程度を残し)切り抜きます。　 �D-d) 内側をヤスリで整形します。中央2本(縦)の柱は他より出っ張らせるように周囲を削ります。 �D-e) 熱をかけて張り付いた洋白板を取り離します。　コテで温めるよりガスコンロ等で一気に熱をかければきれいに離せます。このとき，ピンセット等を利用し火傷に十分気を付ける事が必要です。 �D-f) 一方，前面上の表示窓(サボ)のHゴムをトイレ窓と同様に表現します。　キットのパーツには表現されていないので是非加工しておきたい部分です。 �D-g) 飾り金具は10゜傾斜のための「周囲」板を介して前面妻板へ取り付けます。 周囲はドァーの場合と同様，治具を使って製作します。　両端は10゜傾斜のため斜め加工します。 000番代車[前面パーツ：タニカワ製] 100番代車[前面パーツ：スクラッチ]
		-�E踏み板他の加工 　キットの踏み板は網目に成っていないので洋白板(0.2t)より切り出し上の写真ように取り付けました。　ヘッドライトケース，テールライトケースはパーツをそのまま利用しました。　幸い，ヘッドライトパーツはシールドビームタイプでした。　手すりは0.5φ真鍮線を曲げて表現しました。　胴受は「フクシマ模型」のパーツを使用しました。
		�E-a) 　洋白板(0.2t)を切り出しキットのパーツへ半田付けして妻板に取り付ける方法でも良いのですが板厚が厚くなるのでキットの踏板は使用しませんでした。 　表面(右の写真参照)のような形に洋白(0.2t)を切り出し，同厚の洋白材を裏打ちし車体に半田付けしました。　尚，裏打ちした側が車体(正面)に付く事は言うまでもありません。
		トップページ お問合せ
		総武線の荷電編成製作記(1) 製作意図，問題点 車体の製作 屋上機器の加工 床下機器の配置 台車，伝導装置 塗装，電装，完成 図面，製作図